神宮前の桃源郷:葵産業 インタビュー
Sep 01, 2017
photo: BlackEyePatch / text: maruro yamashita
刺繍というメソッドを用いて、自分たちの作り上げたデザインを世界に送り出している『葵産業』。
彼らのデザインの届け方は、お客さんが持ち込んだアイテムに刺繍を施したり、独自の審美眼でセレクトした古着に刺繍を載せたオリジナルアイテムを販売したり。
彼らのやり方、スタンスは従来のアパレル業界は勿論、サブカルチャー的な枠組みからも完全に自由だ。
千駄ヶ谷に工房兼事務所と実店舗を持つ『葵産業』のショウタロウさんとコニダさんに話を聞いた。
「唯我独尊、日本人である自分たちのバイブス、感情を表現していきたい」
ー最初に伺いたいんですが、『葵産業』っていうのは何屋さんなんですか?
コニダ「一応、Googleで検索したときの店舗情報みたいなやつでは、リハビリテーション施設として登録をしています。 刺繍屋さんですかね。服屋では無いかなっていう。もう少し分かり辛いこと言うと、本来あるべき状態への回復。権利の回復、復権、浄化を刺繍から」
ー『葵産業』は二人でやってるんですか?
コニダ「いや、もう一人いて。ケント君て人で、3人でやってます」
ー三人でやろうってなった切っ掛けは?もともと三人で何かやってたんですか?
ショウタロウ「いや、普通に友達だっただけ。俺がやろうって思って二人に声をかけて。 元々俺は古着を仕事にしてたんだけど、古着の次のレベルにいきたくて始めたっす」
ーそういう思いがあったんですね。古着の次のレベルというのは具体的には?
ショウタロウ「そうですね。どういう古着を買い付けてとかってのを全部飛ばして、うちらはデザインだけを売るみたいな。好きなボディとかはお客さんが自分で決めれば良いと思うし。 売る側がこっちだけで決めて売るより、お客さんが自分で一番良いと思うボディに、俺らのデザインを載っけてもらうのが一番効率が良いんじゃないかなって。 お客さん的にも、俺ら的にも。デザインは良いけど、ボディがダメだなって思うこととかいっぱいあるし。皆が同じボディを使ってたりするし。 このやり方なら、そういうことを全部無くしちゃえるんじゃないかなって。それが最初ですね」
コニダ「ケント君がずっと刺繍屋さんでバイトしていたからノウハウを持っていて。彼から教えてもらって。三人とも出来るようになった感じです」
ーグラフィックは誰が作っているんですか?
コニダ「3人がそれぞれ思い思いにやってる感じですね」
ーデザインを作る際に皆で相談したりしますか?
ショウタロウ「全部気分ですね。その日に目に入ったものをひたすら。 3人ともある程度方向性は似ているけど、全然作るものが違うっていうか、うまくばらけんじゃないかなって元々思って」
コニダ「バランスは良いかもしれないです。謎なバランスで。ケントくんはちょっとポップさもありながらディープさもあって。 俺は自分一人でやったら多分金は稼げないみたいな(笑)、訳の分からないものが好きで。ショウタロウくんは銃とかコアなモチーフがあるものが好きで」
ー『葵産業』っていう名前はどこから来てるんですか?
コニダ「葵って名前が昔から好きで気になってて。子供ができたら葵ちゃんがいいなとおもってたりして。 日本ていうのを大切にしてます。天上天下唯我独尊、ジャポネーゼである自分たちのバイブス、感情を表現していきたい」
ー感覚的には洋服屋っていうよりかは、デザインを売ってるみたいな?
ショウタロウ「デザイン全般かな。何だろう」
コニダ「今は服がメインになっちゃってるんですけど、できればもうちょい生活用品とか、 日常に根ざしたお宝作りをしたいなと思ってます。バスマットとかタオルとかシャンプーとか水とか」
ーお店のディスプレイは誰かが指揮を取ってるんですか?
ショウタロウ「誰も指揮はとってないです(笑)」
ーこれも思い思いにってことですね。
コニダ「そうですね。気になるものをそれぞれ持ってきてっていう感じで」
ー元々どういったものが好きだったんですか?
コニダ「自分がどういうものを好きなのか分からないのですが、本当に単純に良いな、ピカーンって鳴ったものを集めてます。」
ーいわゆるファッショナブルなものとかじゃなくて。
コニダ「世間的なファッショナブルじゃなくて自分のなかのファッショナブルなもので」
ー元々何かをカスタムしたりっていうことは好きだったんですか?
コニダ「そうですね。個人的に服を作ったりかとかは。手刺繍ブランドの 大切 あと 912。 適当に趣味でグラフィックを作ったり。全然仕事になってる感じじゃなかったんですけど、ショウタロウくんからの誘いで、やってみようってことになって」
ー具体的に影響を受けた人やモノってあります?
コニダ「女性、前略プロフ、スタービーチ、mixi、マラドーナ」
ショウタロウ「余りないかな。けど、一番単純に考えて皆が心踊るもの、身近にあるものじゃないけど、そういうところを狙って作るものもあります。 ”ショートケーキ”とか”赤ちゃん”とか。皆好きでしょ? って思ってモチーフにしたり」
ーそういうセンス的な部分は皆で共有しているんですか?
コニダ「デザインとか、何でも良いんじゃないか? って思う時があるんですよね。 全世界には、少しでもこのバイブスを好きな人が何人かはいるんじゃねーかって思うから、自分たちが好きなことをやろうって。 下手に相手を意識してやっていっても先が辛そうじゃないですか。そんなに皆の気持ちばかり考えて作っていても。 どうせいつかは付いていけなくなるし。だから、好きなようにやって、日本だけじゃなくて、世界的に知ってもらって、 少しずつでもこの感じが好きな人が増えてくれれば良いんじゃないかって」
BlackEyePatch × 葵産業
CAPSULE COLLECTION
“TOKYO SOUVENIR”